
FUJIFILM X-Pro1を見て、光学ファインダーを考える。
富士フィルムが
FUJIFILM X-Pro1
というミラーレス一眼カメラを出すそうです。Amazonじゃ「一眼レフカメラ ミラーレス」とか書いてあって謎です。
そもそも「ミラーレス一眼」というのは、EVFや液晶ディスプレイしかもたないカメラが「一眼レフ」という巨大なネームバリューに対抗するために創作したマーケティング主導の宣伝用語だと思っています。どうしても「イチガン」の一言が欲しかったんですね。
その「ミラーレス一眼」が、光学ファインダーとEVFの両方を備えるハイブリッドファインダーのカメラに使われると、もうなにがなにやら訳がわからない訳ですが、近年「ミラーレス一眼」がみるみる旬な商品になっていった様子をみると、その冠も以前よりはずっと大事なものになってきているようにも思えます。私にとっては「ネオ一眼」とかで通ってきた道ですけれど。
嫌味はさておき、このX-PRO1の「光学/電子ハイブリッドビューファインダー」の中に「光学」の一文字が残ったことを喜びたいと思います。なんとなくCONTAX G1/G2をデジタル化したような感じですね。CONTAX Gシリーズは光学ファインダーをズーム式にすることで、レンズ交換に対応していたんですよ。レンズも定番の28/50/90らしいし。ちょっと興味がわいてきてます。それにしても光学ビューファインダーってOVFっていうのか。普通「ファインダー」で通っていたものだけれどなあ。
ところで先日、
(OVFとEVFについて)140万ドットのEVFはすでによい画質だと思う。そしてホワイトバランスや露出を考えると、時には正確性でOVFをしのいでさえいる。技術の進歩にしたがって、時間と共に、OVFの重要性は次第に減少するだろう。(富士の)X100のファインダーはとても素晴らしいコンセプトで上手く考えられている。
などというドキュメントを発見して、ビューファインダーで食ってたようなカメラ屋が光学ファインダー衰退説などを唱えるのを見るに至り、ただ光学ファインダーを覗きたくて写真を撮ってきたような私としては、なんというかこう忿懣やるかたないというか、地団太を踏むような思いでもいます。
光学ファインダーは大事だよ。
たとえば飛行機とか、犬とか、子供とか、移動の角速度が速い被写体を狙う時は、EVFではまだまだというか、多分永久に光学ファインダーには追いつけないと思う。確かにカラーバランスとか視野率とかプレビューとかそういう付加価値はEVFにあると思うけれど、「被写体を視界に捉える」という一点では光学ファインダーにあるメリットは揺らがないと思っています。
だから、
光学ファインダーの開発は止めないでください。一眼レフだけでいいです。作り続けて欲しい。
いままで一眼レフのエントリー機を購入していたコンシューマが「ミラーレス一眼」というよくわかんないジャンルのカメラに雪崩をうったように移って行くのは、なんとなく予想されていたことですが、光学ファインダーの良さもぜひ皆さんに知っておいてもらいたいと思います。
お願いしますよ。ねぇ。
そうだ、大事な大事なスクリーンの問題なんかもまた語りたいなあ。
ここまで読んでくれた人のために、一番大事なことを最後に言います。「ファインダーの性能」というと視野率(98%とか出てる奴)とか倍率をすぐに連想されるでしょうが、コンデジの裏にくっついてるライブビュー用の液晶ディスプレイに対するEVF/光学ファインダー(要するに目に当てて覗く式のファインダー)の最大のメリットは実は
アイポイントにあるんですよ。掲げた腕で支える20〜30cm先にある数インチの液晶と、目の前数センチにある小さなスクリーンに映る映像では、後者の方が実は大きく見えるのです。
ライブビュー液晶でいくら大きく表示されても、目の前に置かれたEVF/光学ファインダーには絶対に敵わない。一眼レフカメラに望遠レンズを付けて動きものを使ったらすぐに分かります。目の前にかざした液晶ディスプレイでは撮りたい写真は撮れません。というか、あんまりよく見えないし、カメラをどっち向けてるかもよくわからないんだよ。EVFの遅延は別にしてもね。
顔で押えて安定する、というメリットも合わせてあります。腕の先で保持するコンデジ/ミラーレスに比べ、顔にくっつけたまま向きが変えられる光学ファインダーはヘッドマウントディスプレイみたいなもんですよ。目と直結ですから、細かいところを狙いやすい。一眼レフが望遠や接写の能力でドイツのレンジファインダーカメラを一気に駆逐したのは重要な事実です。一眼レフのファインダーにメリットがあったから、CONTAXもライカも国産カメラに敗れ去ったんだよ。
こんなこと一眼レフが開発された当初からわかっていた一眼レフのメリットなんですが、なんでみんな忘れちゃったのでしょうかね。それだけ素人さんが大量流入したってことかな。
これらのEVF/光学ファインダーのメリットは撮れる写真に大きな影響を与える(しかも初心者の人はあまり気にしていない)ファクターなのですが、あまり指摘する人はいませんよね。
デジタル嫌いですけれどEVFが超高度に発達したら、もしかしたら光学ファインダーの代わりにはなるかもしれない、というのは認めます。でも背面液晶のライブビューでは絶対に光学ファインダーの代わりにはなれないのです。だからメーカーさんはぜひ光学ファインダーも残しておいてほしいと思います。
カメラメーカーは当然そんなことくらい判っているはずだけれども、圧倒的多数の消費者がそういうことも知らずに
「光学ファインダーなんかコスト上がるだけだし、もういらんよNe!。フェイクのペンタ部デザインだけ残して外してYO!」
などと言いだすとメーカーも開発・生産を止めちゃう可能性があるからね。
筋の通った、いいものが必ず残るとは限らない。
いままでそういう光景を何度も見てきました。
お願いしますよ。
以前書いた光学ファインダーの記事
光学ファインダーの重要度 | 日々雑感II
posted by delta16v at 12:45
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