
秋月なんて余りの面白さに中一週間で2回見てきましたよ。こんなのは初めてだな。そろそろ公開も終わりということなので、ネタバレ満載でお送りします。
デル・トロ監督によると、3D吹き替え版の英語字幕つきを見るのが完全版らしいです。どんだけ凝ってるんだよ。
怪獣(字幕版でもKAIJUと発音しているらしい)が実際に出現する世界において、巨大ロボットで怪獣に立ち向かう話。鉄人であり、マジンガーであり、帰ってきたウルトラマンであり、ガメラであり、メカゴジラであり、ザブングルであり、EVAであり、トップであるなにか。
もちろんゴジラであることは言うまでもない。
パクリ天国!
古今の特撮・アニメ作品からの引用多数ですが、サンプリングっていうよりも監督本人の血肉になっている気がして、あまり嫌な感じはしません。その辺、庵野なんかも同じなんだろうけれど、有り余る演出力を持て余している庵野に比べると人間ドラマをしっかり描きたいという動機はつよく感じられて、より好ましいです。
3D映画は初めて見た俺
3D映画ってのは初めて見ましたが、被写体がずいぶん小さく見えるものなんですね。レイヤーがはっきりしていて、それぞれのレイヤー内は平板な感じ。「ミニパト詳しくは映画本編を見てもらうこととして、いくつか思ったことを書いておきます。
複座のロボットについて
パイロット搭乗型で二人乗りっていうのは、ガンバスターとかグレンラガンとかいくつかの例があるんだけれど、特にモーショントレース複座となると、一人がガンナー(というかパイロット)ともう一人がWSOというか、索敵とか火器管制とかフライトエンジニアっぽい調整役になることが多いです。ガンバスターでは、カズミお姉様、グレンラガンではカミナの兄貴ですね。グレンでは後半一緒に乗るヴィラルが「全力でサポートしてやる!」とか叫びますが、支援だけだとちょっと残念ですね。かくも二人のパイロットを同じように活躍させるのは難しい。
どうやってパシフィック・リムがそれを解決したのかは一目でわかりますが、なんと二人で並んでモーショントレースするんですね。右脳左脳って、その理屈は無茶だとおもいます(笑)。脳内記憶を相互にダイブさせてとかもっともらしい強引な理屈で切り抜けていますが、でもまあ二人がコクピットでがっちゃんがっちゃん歩いているところはそういう理屈をふっ飛ばす位のインパクトがあります。
モーショントレースについて
「歩く」ってのもすごいよね。身体性に直結してる。最近じゃなんでもかんでも仮想だのバーチャルだの、リモートできれいに片づけちゃうことが多いんだけれど、その対極にあるこの操作法。確かにモーショントレースなんだからロボットが歩く時は中でパイロットも歩かなきゃいけないのは道理なんだけれど、ここまではちょっと考えてなかった。しかも二人でだし。
下駄みたいなの履いて二人で「よっしゃ、いくぞー!」と足並みをそろえて行進して行く様は圧巻です。
水中を進む怪獣
よく太平洋の真ん中で首を出してグワー!とか叫ぶ怪獣の映像がありますが、下から見たのは初めてです。おまえたち、犬かきみたいにして首だけ出してたんだな。いくら巨大な怪獣とはいえ、海と比べると小さいものだな!と再確認。水中を進むゴジラというのはリメイク版で見たおぼえがありますが、それよりもインパクトがある映像でした。
水中高速型怪獣
EVAとかトップとか。トップのは宇宙怪獣だし、第8使徒はマグマの中泳いでるやつですが。あとグラブロに翻弄されるガンダムとかね。静止して待ちかまえる主人公の周りを高速で機動して突然襲い掛かる巨大な敵。しびれますよ。最後はオキシジェンデストロイヤーエンドかと思って見てたら、トップをねらえエンドでした。酸素酸素言ってたから、こりゃ破壊するしか!と思いましたけどね。芹沢博士並みにアイパッチな博士が欲しかったなあ。
パシフィック・リムの中で見たなにか!
最後に私がパシフィック・リムの中で見たなにかを列挙して、推奨の言葉に換えたいと思います。ネタ元指摘が無粋なのは承知wマジンガーの頭にパイルダーオン。
モーショントレースを使って二人で操縦するガンバスター。
フライトデッキに巨大なロンギヌスの槍を乗せて進む原子力空母。
環境悪化が引き金になって現れ始める怪獣。
空輸される三式機龍。
EVAの稼働時間残を示すカウントダウンタイマー。
接近戦でツインテールの目を撃ち抜くMAT隊員。
二人の行動がシンクロするまでトレーニングして敵を同時荷重攻撃するEVA第九話「瞬間、心、重ねて」
後方に滑りながら着地するザブングル。
実験エリアで拘束されたまま暴走するEVA零号機。
頭がナイフのギロン。
ガメラを成層圏まで引き上げるギャオス。
アムロとシャアとアルの声。シゲさんの声。そいから綾波の声。
Swoooooorrrd!と叫びながら、日本刀で翼手を切り裂く小夜。
パイロットが叫ぶ「ロケットパーンチ!」
次々に閉まって行く隔壁。
箱舟を緊急手動パージする為にスイッチを入れに走る野明。
人が乗っているものを点火栓に使うわけにはいかない最終作戦。
「命の壁を破壊して突破してくる巨大な敵」とか、最新の情報まで盛り込んでるじゃないですか。子供の頃に見た日本の特撮・アニメをぶち込んでとか懐かしめいたホンワカな言ってるけれど、いまもそうなんじゃねぇかデル・トロ。現役なんだろw
いろいろ列挙していたら、更にしつこくいくつか指摘したくなりました。語らないと気が済まないんだよw
吹き替えの良しあし
チェーンソードで怪獣を切り裂く時、「まだチェーンソードがあるわ!」とか言いますけれど、あれ字幕版だと「Swoooooorrrd!」って叫んでるんじゃないかなあ。「3D吹き替え版の英語字幕つきを見るのが完全版」らしいというのはその辺を言ってるのかなとか踏んでます。とにかく押井もからんでた「BLOOD THE LAST VAMPIRE」は絶対見てるでしょ。
女の子がホントウで敵を切り裂くシーンと言えば、キルビルよりはBLOODだよね。
ツインテールの目
そいからツインテールの件。帰ってきたウルトラマンのツインテール戦では、ツインテールとMAT隊員が同一画面に合成されていますが、子供の頃に見たあの「怪獣と人間が同一フレームに映るシーン」のインパクトはすごかったです。今回全編にわたって怪獣の新しい描写が続出ですが、あのツインテールの目を潰すシーンを拡大再生産したように見えてなりません。そういう意味でも大事なシーンだから、わざわざ眼つぶしカットも取り入れたんじゃないかなあ。
劇場で一回見ただけでこんだけ拾えるんだから、DVDで止めながらみたら、一体どれだけのネタがつまってるんだか、と感動しました。
オススメです!
危険です。すっかりそそられてしまった(笑)
考えてみれば、平成ガメラ以降ぱっとしない国産怪獣ですね。これをきっかけにぜひ。
ガッチャマンねー。君子危うきに近づかないのだ。
>銀様
まだもうちょっとやってるみたい。
面白かったですよー。
ちょっと長めですが、綺麗に話が終わります。エンドロールでレイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎への献辞がでて、じんときました。