前作になにかしら反感すら感じたのは、おそらく梅田氏自体がこっち側に来てもいないのにも関わらず、それをネタに本を書いたように見えたことが原因だと思います。
その後湧き起った、「じゃ、モチオはどんなコードを書いたのさ」という議論はその気分をよく表わしていて、なるほどそういうことだったのかと腑に落ちたような気がしました。
本書では、実は梅田氏自身が持つギークでアルファなエンジニアに対する羨望とまで言ってよいシンパシーが繰り返し語られます。なるほど、そういうわけだったのか、という合点と、なにかこうマーケティング上手な著者のスキルが透けて見えるところもあって、じゃあこっちも上手にだまさされてやろうかとか、そういうひねくれた感情も起こってきたりします。
前作と違ってIT関係の啓発本、というわけではないのだと思います。道徳というものが、「よりよく生きる方法を考えさせること」だとしたら、この本は非常によくできた道徳の教科書であるといってもいいでしょう。
#一番大切な「青年期」という時代は、『教育される「道徳」』
#というものに一番反発する時期でもあるので、こればかりは
#自分で「発見」するしかないんですが。
未就業の学生さんにはよくわからないかも知れませんが、今日的なホワイトカラーの仕事には、やることが順番に並んでいて、それを一つずつ片づけていけばいい、ということはあまりないのです。一見、単純に見える事務仕事においてすらも。
日々、自分で自分をディレクションしてプロデュースできないと、ダメなやつと言われる。そんな時代に、一体何を生きがいとし、何のために働くのか。その問題に対するひとつのモデルが語られた本です。
高校生(理解できるなら中学生にも)に読んでもらって血をたぎらせてもらいたいと思います。不惑過ぎた私だって、少なからずアドレナリンが沸き立ったくらいですから(笑)
攻殻機動隊
「ぼくらを外へ解放しに来てくれたんですね!?」士郎正宗的に言うとちょっと違う向きの言葉だったのかもしれませんが、なにか気分的に非常にぴったりくる言葉でした。
「はぁ??何が望みだ?俗悪メディアに洗脳されながら、種(ギム)をまかずに実(フクシ)を食べることか?興進国を犠牲にして」
「そ、そんな」
「お前にだってゴーストがあるだろ。脳だってついてる。電脳にもアクセスできる。未来を創れ」
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20071124