
先日、カブのイサキ(6) | 日々雑感IIで、三崎亜記と書いた時に、ああこないだ読んだのの感想書いてなかった、と思いだしました。神林、カジシン、小川一水と並んで、出れば読む作家レイヤーに入れています。
毎回、とびきり異様な世界を構築してそこで生きる真面目な人々の様子を淡々と描く三崎亜記にして、今作は非常にリアルな世界を舞台にした一作。
A市とC町の合併問題をめぐって、対立する市民の姿を描きます。
錯綜する情報。活動家の暗躍。歴史的事実とその捏造。ネットでの炎上と収束。
繰り返すどんでん返し、明かされる事情。
真実はどこにあるのか。自分の目に入った情報が真実なのか。
雪風をはじめとする神林認識系SF(なんじゃそらw)も、「認識することで現実が生じる」ということを多くテーマとしていますが、それとは少し趣向を変えて、更に直截的にネット社会での生き方を再考させてくれます。
元公務員という前歴もあるのでしょうが、やっぱりお役所仕事書かせるとうまいなあ。
ホンワカした世界をふわふわと描く作風が多いすばる系において、情報リテラシー向上に資する、という珍しく実利的にも役立つ一冊。
オススメです!
あ、おまけの短編は、「となり町戦争ゼロ」でした。
懐かしい人々に再会できます。
この著者の作品はすべて読んでいますが、
もっとも多くの要素が、もっとも輪郭のハッキリした形で織り込まれた作品でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
コメントありがとうございます。
そう言えば三崎亜記、また新作も出てた気がします。
読まなくっちゃ!