ユーモアあふれる“どくとるマンボウ”シリーズや、大河小説「楡家(にれけ)の人びと」で知られる作家、芸術院会員の北杜夫(きた・もりお、本名・斎藤宗吉=さいとう・そうきち)氏が、24日死去した。遠藤周作氏が亡くなってずいぶんになりますし、第三の新人もさみしくなってきましたね。安岡氏はお元気かな。
84歳だった。告別式は親族で行う。
近代短歌を代表する斎藤茂吉の次男として東京に生まれた。旧制松本高を経て東北大医学部に進学。卒業後の1954年、初の長編「幽霊」を自費出版した。
60年には、水産庁の調査船に船医として半年間乗った体験をユーモアを交えて描いた「どくとるマンボウ航海記」を発表。「昆虫記」「青春記」などマンボウものを出版して人気を博した。
同年、ナチスと精神病の問題を扱った「夜と霧の隅で」で芥川賞。64年には斎藤家三代の歴史を描いた「楡家の人びと」を刊行、毎日出版文化賞を受けた。「さびしい王様」など、大人も子供も楽しめる童話でも親しまれた。「青年茂吉」など父の生涯を追った評伝で98年、大仏次郎賞を受けた。
(2011年10月26日03時01分 読売新聞)
北杜夫氏は「どくとるマンボウ」シリーズで有名ですが、私にとっては、なかでも「青春記」がムツゴロウ・畑正憲氏の「青春記」と合わせて二大バイブルでした。「楡家」とか「夜と霧のすみで」よりも「青春記」推し。
中学か高校で読んだはずなんですが、この二つの「青春記」は当時「これからはじまる俺の人生」への希望になりました。「通過儀礼」としての大学生活へのあこがれをあおりまくってくれたんですね。
作中描かれる旧制松本高校での、若気の至りの極致をいくようなそのシュトルムウントドランクの日々にあこがれて、私も大学では疾風怒濤のバカばっかやってました。
今となっては反省しきりで、当時を思い出すと北杜夫氏が躁鬱になったのもうなづけるような汗顔の思い出ばかりなんですが、うちの子供たちにも、そういうハチャメチャな「若さの発露」というものがあるんだ、と知ってもらいたいような気もします。
あー、それと「さびしい王様」だ。王様になっても人間はさびしいものなのだなぁとつくづく思っちゃったりもしました。
私の人生を形作ってくれた先人のなかのおひとりです。
冥福をお祈りします。
「船乗りクプクプの冒険」が大好きでした。
内容は忘れましたが、良い意味で、”バカバカしくて”
本棚を探して、久し振りに読んでみようかな。
クプクプの冒険ですか!懐かしいですねー!
「さびしい王様」と同じくやはり高校の頃に読んだはずなんですが、「大人向けの童話」なんてものが成立するのかとびっくりした記憶があります。しかもこどもが読んでも面白いという。
私も読み返してみたくなりました。
妻は「楡家」が一番思い出深いそうです。
「夜と霧の隅で」はうしろのあらすじがこわそうで、読めませんでした。
影響を受けてヘッセとかトーマス・マンを読んだのもいい思い出です。
そういや、「浅間温泉が浅間にはない」という衝撃の事実も、「青春記」で北杜夫に教わりました。