梅本氏と言えば、ローガン梅本名義で老眼と戦うモデラーとしても著名ですが、やはり戦記物の著作、翻訳で有名でしょう。でもちょっとだけ怪しげなフィクションも手掛けていて、有名なのは小林源文氏の絵で漫画にもなっていた「ビルマの虎―ハッピータイガー戦記
たった一両だけ帝国陸軍に売却されたティーガーIが数奇な運命のもとに武装SSに入隊して戦っていた日本軍人と共にビルマを疾駆する、という「ありそうでなさそうな終戦秘話」を虚実ないまぜにして書かれた興味深い作品です。
こっちの「エルベの魔弾」もテイストとしては近い物があって、こっちは第三帝国版ですね。数奇な運命の元に(こればっか)国防軍の戦車に乗ることになった少年たちが、終戦間際のエルベ河畔で見たものは…という筋立て。
クーメンスドルフとか聞くと燃えますよ、そりゃ。戦車実験場から試作戦車をごっそり持ちだしてとか、そういうモチーフは燃え燃えです。佐藤大輔の「鏖殺の凶鳥」なんかだとさらにエスカレートしてマウスだのE100だの最新試作戦車を並べて突進したりするんだけど(その割にあまり活躍しない)、それに比べると梅本氏の場合はちょっと地味というか現実的です。
でも4号戦車にパンターF型の小型砲塔を乗せた試作戦車は、そのへっぽこぶりがすごくリアルで(厨二的表現)、感心しちゃいました。
終戦間際の超兵器だらけのドイツ軍に充分な補給とエアカバーを与えたら、どんなことが出来るのかとか、やっぱり妄想しますよね。
とにかく終戦間際のベルリンの街が、見てきたように描かれています。戦車砲弾の補給だって、どうやってたか、みんな知ってっか?と自慢出来たりもします。戦車兵が戦車の中でどんなふうにして戦ってたのか、非常に詳細に描かれている点はとにかく素晴らしいです。
戦車に興味があるけれども、そのへんの妄想的仮想戦記には飽き飽きしている方には特に、
オススメです!
偶然戦車に乗ったバナシならコクピットシリーズの四式戦車のもいい
サンキューー。
早くハイドロタンクを見に来るのじゃぁ。
同じ内容ですが、新書版が「ベルリン1945―ラスト・ブリッツ」てので出ているそうですよ。よーくお探しあれ。
エルベっていえば、アーネンエルベとか、エルベの蛍火とか言うんでしょwいいなづけのハンナは実はハンナ・ライチュじゃないかネタはもうどっかで私が書いちゃいましたからねw
戦車的に言えば「ラインの虎」がらみの最後のケーニヒスティーガーものみたいなのも書いてもらいたいですが、終戦間際の西への脱出とドイツ機甲部隊の最後の奮戦というと、宮さんが「ハンスの帰還」でIV号J型の脱出話書いちゃってるし、なんかひと工夫要りますよね。でもいまでも面白いモチーフだと思います。
そういえば、女の人が書いたラノベっぽいティーガーIIの話とかも手に取ったことがあったけど、なんか途中で放棄しちゃいました。なんでだったか思い出せないんですが。
「鉄の墓標」の四式中戦車は現物とはまるっきり仕様が違ってますので、あれで心が燃えてしまった我々は現物のチト車を知った時に、どこに怒りをぶつければいいのかわからないほどの戸惑いを感じたものだったのでしたのでした。ホリIIくらいでないと納得いかないよね。
ちなみにIV号戦車も四式中戦車もM4も、みーんな75mmだったんだなぁと昨日気がついたんだぜ。
ヨンと言えば75mm。ワンと吠えりゃツースリー。
>スフィア様
最新鋭のヒトマル戦車は「油気圧式(能動型)」って書いてありますが、これはハイドラクティブってことなんでしょーか。きょーみしんしん。
>銀様
ちゃんとした戦記風になっていて、凡百の仮想戦記とは一線を画してると思います。
どっかでみかけたらぜひ。