漫画読みはもうなんだって読むんですよ。少女漫画とか関係ない。読みたいから読みました。はいはい。
少女漫画っていっても川原由美子とかは極北に位置するのかもしんない。普通のBLとか百合とかに比べても一種異様な迫力があります。なんたってホラー扱いだもんね。
もちろん音楽ものじゃありません。「ななめの音楽」てのはドイツ語でいうと「Schräge Musik」というもので、本来の意味は「ちゃんとしたクラシック」に対する「ジャズ」のことなんですが、その筋の人には、第二次世界大戦末期の夜間戦闘機に搭載された斜め銃をドイツ人が「Schräge Musik」と呼んだことの方が先に思い出されるでしょう(シュレーゲムジーク - Wikipedia)。
通常は前方に向けて装備する機関砲を、背負い式に斜め上方(斜め下方の例もある)に向けて装備し、敵重爆撃機の銃座が存在しない後方下面の死角から上向きに射撃して撃墜する、という戦法です。アメリカみたいなよその国を攻めてばかりの空軍にはない装備で、重爆の迎撃が重要任務になってしまったドイツと日本に存在しました。どちらも同時発生的に「発明」されたもののようですが(月光 (航空機) - Wikipedia)、日本ではB-29を迎撃していた厚木基地の小園司令の発案だそうで、第三〇二海軍航空隊の月光ですとか、雷電に積まれた斜め銃が有名ですね。
ま、とにかくドイツの斜め銃は「シュレーゲ・ムジーク」、すなわち「ななめの音楽」と呼ばれていたのです。
で、なんで川原由美子が少女マンガで斜め銃なのか、今一つぴんとこないんですが、飛行機の絵を書かせたら有数の絵師・佐藤道明師匠(やっぱり師匠と呼ぶ)は川原由美子のアシスタントだったんですね。へー、私は知りませんでした。
確かに「漂流要塞」とか「海溝要塞」とか「消滅要塞」を見て少女漫画ふうの絵柄だなぁと思っていました。この「ななめの音楽」でもミチアキ師匠は名前がクレジットされていませんけれども、どうみてもこれは半分以上、師匠の絵です。メカ部分はたぶんほとんど。時々違う絵柄の飛行機も出てきますが、圧倒的に実力が違う感じ。あっちが川原由美子画なのかな。女の子の絵も怖い目をした光子先輩とクールな表情のラウラさんは、あれはミチアキ師匠の絵だと思うです。Wikipediaには合作と書かれていますね。香椎の震炎(なんと水素燃料のロータリーエンジン)の機付長は要塞シリーズからの出張だよあれ(笑)。
なぜか全体的に4コマに割られたイライラするコマ割りもなんだか画集と言うか、イラスト集のような趣をかもし出していてこれもなんだかミチアキ師匠ぽい。師匠、コマ割りとか考えるのめんどくさいんじゃねぇのかしら。
「最新鋭機が美しくないのは、ほかの国も同様でしたわ」
とか
「スピットファイア以外のイギリス製品で唯一好きなもの」
とか、なかなかじんわりくる、いいセリフもあります。
あらすじは、かわいい女の子を夜間戦闘機に乗せたいという、かなり無茶な筋立てだと思うんですが、少女漫画風の展開もありなかなか評価に悩むところです。特にエンディングの展開はどうかと思うけれど、その辺が川原由美子ならではと言えばそんな気もいたします。判断はちょっと置いておきますか。
とにかくいつでも佐藤道明師匠のヒコーキの絵に飢えている方には…
オススメです!
やっぱフェアリー・ガネット推しかなww
あの頃で美しい機体てーと、やぱスパイトフルとかホーネットじゃないすか。
でもどうせワイバーンさいこーとか云うんでしょw
でも下面スカイはいいですよね。