色々な状況を想定して準備しておくのは楽しいことでもありますし、いいことだとは思うのですが、最近の風潮にはいささか疑問に思うこともあります。
なにしろ準備の念の入り方がすごいんですよ。ちょっと度を越しているんじゃないかと思うくらい。
飯ごう炊飯も楽しいと思うのですが、事前に校庭で練習をします。まあ練習くらいはいいよね、と思うのですが、その練習の時に失敗したらいけないので、その場合に備えておにぎりを持ってくること、とか言われると、うーんどうだろう。失敗は失敗なので、その時はいさぎよく敗北の味をかみしめるのがいいのじゃないかという気もします。
雨が降ったら外に出られないので、その時に見るDVDを事前に多数決で決めておく、とかまで聞くと、やっぱりそこまではどうかと思うのです。
近年の世の風潮として、
「失敗は悪しきもの」
「断固として絶対に避けるべきもの」
というリスク回避のバイアスが強すぎます。「自己責任」とか「オウンリスク」が流行り出したのは小泉改革あたりからの傾向でしょうか。そんなに昔からの日本人の体質というわけではなかったと思います。
「一生懸命やって失敗したらあきらめればいい。困った時は困りながら知恵を絞るがいい」
とのんきに考えている私からすると、あまりにも世の人々はリスクを恐れすぎなようにも思います。以前私がやった男の旅みたいなことをすると大騒ぎになっちゃうのかしらん。
買い物ひとつ取っても、事前にネットで調べまくり、一円でも高く買ってしまったら負けた気がする、とかいう人もいます。なにか行き過ぎているんじゃないかなぁ。
「失敗を恐れるな」
とはよく言われる言葉ではありますが、存外深い言葉だったのかも知れんな、と再考する昨今です。
人生いたるところリスクあり。困った時は正々堂々と困って、そこから脱出すべく知恵を絞ること。困ると嫌だからなにもしないなんてことは、楽しい人生じゃない。
子供たちには、そういうことを教えてやりたいと思います。