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2010年11月19日

ヒルクライマー

ヒルクライマー 高千穂遥「ヒルクライマー」読了。

 「ダーティペア」と「クラッシャージョウ」の高千穂遥が自転車にはまりまくっているのは数年前に本で読んで知ってたんだけど、こんな自転車小説まで書くようになってたんだな。

 リーダビリティはあいかわらず。数時間で読めます。

 そう言えば、菅平に自転車で上がっている人をたまに見かけます。競輪の選手が練習してるのかなーとか思ってましたが、あれがヒルクライマーというか、「坂バカ」っていう人たちなんすね。

 私も学生の頃、北米大陸を自転車で横断した学術探検部のカツマタくんが渡航資金集めのために譲ってくれたお古のロードに乗っていたことがありました。部活の合宿で(あ〜るの真似して行ったんですけどw)高知から小豆島まで四国山脈越えて自転車で行ったりしましたから、雰囲気だけはわかります。ぜんぜんヒルクライマーじゃないけど、シッティングでケイデンスで回して山を越えるのは楽しいことだと今でも思っています。

 若干メタボ気味のごくありきたりなサラリーマン・大作が偶然見かけた自転車によるヒルクライムレース。普通なら新しい趣味にはまっていく様子を微に入り細をうかがって描くんだろうけれど、話は冒頭のシーンから5年後、大作が既にトップクライマーとして君臨しているところから始まります。

 5年間、人生のすべてを(いや、これがほんとに生きていく最低限のこと以外の全て、なんだ)自転車に投入して自らを鍛え抜き「坂バカ」の頂点・トップクライマーの地位についている大作。そしてマラソン競技からドロップアウトして、自転車で才能を花開かせる若い礼二。この二人がヒルクライムレースでしのぎをけずる最終レースまで、一気に読ませます。

 仕事以外のすべての時間を自転車につぎ込んだ大作は家庭が完全に崩壊しているのですが、それでも坂を登り続けます。無になるため。家族の目を忘れるため。何のために坂を登るのか。家族が大切じゃないのか。あなたの価値観はどうなっているのか。そう問われても当然ですね。

 「俺が自転車で走ること。イコール生きることだ」

 そう。私はあんな風には坂を上がらないけれど、何かをしている自分こそが自分自身だという思いはよくわかります。家族を大切にするとかそういうこととは全然違うもの。それをなさない人生なんて、自分が自分で無くなるような何か。

 そう思う時があります。家族とか仕事とか大切なものはたくさんあるけれど、自分が自分でいるためのもの。それはきっと誰にも奪うことはできないものなのかも知れない。言い訳かもしれないけどね。

 読めばペダル踏んで坂を登りたくなること請け合いの一作です。


posted by delta16v at 22:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | 本・雑誌
この記事へのコメント
会社に細ーーーーーいタイヤで自転車通勤している人がいます。
きいてみたらヒルクライムレースをやっていて、レースも出るんですって。
そういうカテゴリーもあるって初めて知りました。

私は10sのコメを積んでプジョーで走っている時に「家族がいる」って実感するよ。
だって重い物を脚使って運ぶんだもの。
Posted by ≪スフィア at 2010年11月20日 13:59
ヒルクライム、傍から見ると辛そうなばっかりみたいですが、やる人にはそれなりの理由があって、やらない人にはきっとわからない。それを聞いたからって登る奴は登るし、登らない人は登らないので、動機を問うだけ野暮ってもんなのかもしれませんね。なんとなくわかるなぁ。

プジョーに10kgのコメはなかなかえらいと思います。シェイプアップも兼用できます。
Posted by delta16v at 2010年11月21日 22:07
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