2010年10月07日

第六大陸

第六大陸 「第六大陸」読了。小松への行き帰りで読んじゃいました。小川一水のリーダビリティ、相変わらずすげぇ。

 小川一水は大抵読んでいるのですが、このすこし古い作品は不思議と今まで未読だったのでした。

 エデンというレジャー会社がとある理由で月に商業施設を作る計画を立て、建設会社とロケット会社が奮闘する、というお話。

 最近宇宙開発には話題が多いのですが、科学調査ですとか国の威信とかで数兆円と言った予算を引っ張れる時代でもない、ということのようです。要は「宇宙はもうかる」という現実的なビジネスの場所としないことには、投資を募ることもできず、宇宙開発は先細りになる気配です。「宇宙がもうかる」ということを数字のマジックではなしに、「月面に土建屋が建設物を構築する」というバリバリにリアルな設定で構築されたのがこのお話。熱い話ですよ。熱気むんむん。

 私としては、「先端のエンジニアリングと経営の共存」を見どころにあげたいと思います。

 非常に先鋭的な経営者が数名登場します。技術を形にすることが生きがいで、そのために会社を経営しているような人。実際「会社経営」という世界は、雑事に追われてばかりでそういった純粋な「こころざし」というものを日々いろいろなものに変えていかないとやっていけない世界ではあると思うのですが、そのあたりの事情も含めてちゃんと大人が読むのに値する物語になっています。普通だと資金繰りの話とかで嘘だらけになるんだけど、なんとなくうまく騙してくれてる感じ。上手です。

 主役は三十代のエンジニアですが、「技師が主役」というと例えば、「日本沈没」の小野寺ですとか「さよならジュピター」の本田ですとか(小松左京ばっかだなw)、いろいろ過去にも例があるのですが、「実際に仕事をしているシーン」というのがなかなか難しいようで、本来の仕事以外の「人を助けたり」とか、「誰かを説得に行ったり」とか、そういうエクストラなミッションのシーンばかり描かれてしまうというきらいもあります。技術者を描く時に、この人なにが本業なのか、日々どういう仕事をしているのかというのか、というところがもうすこしはっきり描かれれば、もっと人物は魅力的になったかもしれません。せっかく「機動建設部」なんていう燃え燃えな部署なんだからね。

 
posted by delta16v at 08:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌
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