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2009年04月16日

サイエンス・インポッシブル

サイエンス・インポッシブル 「サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か」読了。原題は「PHYSICS OF THE IMPOSSIBLE」だそうですが、どうも「ミッション・インポッシブル」にちなんで「サイエンス・インポッシブル」になったようです。いいのかそれで。

 デバンカー系の本かと思ったのですが、これは科学史の物語でした。科学の歴史をひきながら、一見不可能と思える事象の科学的可能性を検証します。

 軌道エレベータからテレポーテーション、タイムトラベルまでいろいろと難問が取りそろえられているわけですが、「不可能な論証ができていない案件はいつかは可能となる(可能性がある)」というのが基本的スタンス。

 これは「可能であることを証明し、不可能であることを証明する。すべてを明確にすることによって世界を明らかなものにする」という「科学」というかひいては「学」そのものに対する真摯なアプローチだと思います。

 振り返ってみれば、いままでどれだけ多くの科学者が人生を賭けて問題の解決、科学の進歩に尽力してきたでしょうか。
 迷信や俗説を信じたがる非科学な方々には、これらの科学者の努力の結実である工業製品を利用する権利はない、と言いたくもなります。要するに相対論を信じない奴はGPSは使うんじゃねぇってことですね、デバンカー風対決的姿勢で言うと。

 巻末で触れられたソクラテスの言葉、「何とすばらしい知識だろうと、ぼくには思えたのだ。ひとつひとつのものの原因を知り、それぞれのものが何によって生じ、何によって滅び、何によって存在するのかを究めるということ!」は学ぶこと、研究することへの喜びの賛歌です。

 SF、という観点からいいますと、「可能と不可能、既知と未知の境目をほんのわずかにずらすことによってセンスオブワンダーが発生し、SFが成立する」ということを再度認識いたしました。脱帽。
posted by delta16v at 12:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌
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