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2008年09月29日

人類が消えた世界

人類が消えた世界人類が消えた世界」読了

 何かの理由(それは戦争でもバイオハザードでも、どんな理由でもいいわけなんですが)で、「人類だけが」きれいさっぱり消失したら、そのあとの地球はどうなっていくかという話。

 最初はね、アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界とか、あのあたりの想像力駆使系を予想して手に取ったんです。でもこりゃ全然ちがうな。そもそも「ノンフィクション」にジャンル分けされているのが、すでに怪しい。

 最初の口絵には「人類消滅後5日目」から始まって、だんだんと文明が自然に帰っていく様子が描かれています。その辺は期待通りなんですが、この本はそれが本論じゃないようです。

 そりゃこういうテーマを聞くと普通「人類がいったい何を残せるか」がテーマだと思うでしょ。でも違うんです。たとえば生分解しないプラスチック。世界中で細切れにされたプラスチックが、いろいろな生物を困らせていますが、これがいつになれば無くなるのかは今のところ想像もつかないようです。また各地の原発の中に存在する無限に近い半減期をもつ核物質、更には空にあけたオゾンの穴。そういった、いやがうえにも「残ってしまうもの」を考えているのがこの本のようです。大抵は「迷惑な何か」であったりするのが、実に残念なんですが。

 人類が後世に「残せる」もの。「残そう」としているもの。そして否応なく「残ってしまう」もの。そういうものが、今でも日々増え続けているのですね。その辺の着眼点は非常に新しいものだと思います。

 また、「現生人類が非常に化石になりにくい状況にある」という考えには、目からうろこが落ちるような思いでした。そういえば、大抵土葬や火葬にしてしまいますし、死体が堆積岩の中に埋もれるような状況というのは、現実にはあまり考えにくいのが昨今ですね。

 後世の知性体から見ると、なぞの文明とか言われちゃうんだろうなー。SOWが感じられる「ノンフィクション」でした。SFファンなら読んで正解の一作。


posted by delta16v at 17:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌
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