ラノベですよ、見た目。
ってか内容もラノベ。でもSFです!
「ライトノベル」という形式自体を著者が望んで選んでいるのか、マーケティング上の要請によるのか、いち読者としては真意はわかりません。が、SFマインドは十分です。梶尾真治が若かったらこういうの書くのかなぁ。
表題作よりも、「恋する死者の夜」の方がぐっと来ました。
生と死については、たとえば前述、梶尾真治氏の「黄泉帰り」という名作があります。雰囲気としてはこれに近いようにも思えますが、生者から見た死者への想いにフォーカスした梶尾氏に対し、古橋氏の方は、あくまでも死者が生者を取り込んでいくその様に独特のものがあります。
また、神林長平氏の「死して咲く花、実のある夢」では、生と死の間に存在する絶対的な境界と、さらに間のトワイライトゾーンについて言及する絶妙な長編ですが、実は広橋氏の言いたいところもこれに近いのかもしれません。自分が生きているのか、死んでいるのか自分でもわからなくなるくだり、切ないですね。
その他の短編もいくつかありますが、どれも「時間」について言及したせつないお話ばかりです。表紙におじけず、多くの人に読んで見てもらいたいと思います。
優良なジュブナイルがラノベに成立することを知り、ハッピーな週末でした。
「星虫」と言う作品です。センスオブワンダーな日本SFの良作です。非常に良心的な古典的SFマインドに素晴らしい発想が有って、「いやぁ、SFって本当にいいものですね」って感じでしょうか。
神林氏の作品は一言で言えば「鯨喰いてぇ」でしょうか(違)。神林長平氏の「戦闘妖精・雪風」(中黒を入れないと突っ込まれるので入れて置きます)の第三部のSF-M連載を読みたいです。
ジュブナイルと言えば、劇場アニメーション版「時をかける少女」の脚本クウォリティの高さは異常です。何だか劇場を幸せにする波動としか言い様の無い空気が凄いのです。最初は観客大爆笑させといて、最後はきちんと…と言う作品です。キャラクター設計もばっちりです。日本人で良かったと思う作品でした。勿論大元の原作が古いので、新解釈を持ち込んでもSF的には突っ込み処満載なのですが、作画もジブリには劣る劇場映画としてはアレなクウォリティも有りますし、声優さんの演技にも突っ込みが有りますが、総合評価では素晴らしいです。大林版と並ぶ作品を目に出来るとは思いませんでした。レンタルが始まったら是非御覧下さい。出来れば予備知識は出来るだけ無しで期待しないで観るのが吉です。
「星虫」、気になっていますが、やはりなんとなく敬遠してしまっています。
笹本祐一てのもいくつか読んでみましたが、悪ふざけが過ぎて、好きにはなれませんでした。
野尻抱介の「ロケットガール」はかなり迷うところではありますが、「太陽の簒奪者」で私の中では一応好きなほうに入りました。「ふわふわの泉」は前半いいんですが...そういえばロケガもアニメ化ですってね。「ストラトス・フォー」がOKならイケるような気もします(謎)。
SF冬の時代が言われて久しいですが、知恵者SF野郎はラノベの威を借りてSFを広めるべきかもしれませんね。
「時かけ」は筒井氏自身原作は書き飛ばしであったし思い入れもないと認めていますので、原作云々はわりとどうでもいい話かもしれません。大林版、細田版を個別に評価するといいですね。
今回の細田版も実は劇場で見ました(笑)。大林版はあまり評価していない私なのですが、こちらはいいお話だったと思います。あれが某有名アニメの影に隠れちゃったのは、実に残念だったなぁと思います。
よく笑ってよく泣く子は好きだし(笑)。
神林関連のコミュ、盛り上げたいですね。ベスト神林ランキングとか、そういう企画はどうでしょうか。
作品別に語ろうとすると、トピックだらけになりそうです。どういう風にトピック立てするのがいいのでしょうね。うーん。