コンビニをはじめとする小売業で、商品の配送時に使われる通い箱というのは、「物流クレート」と呼ばれるそうですが、これがまた現在はメーカーによって規格がまちまちで、物流上の大きなロスとなっているのだそうです。で、新聞を読んで知ったのですが、これを標準化規格で揃えることによって、ロスを減らそうという動きがあるそうです。
物流クレート標準化・共用化とRFID(1) - 物流ポータルサイト‹LSS›Logistics System Station
なるほどー、どんどんやってほしいと思いました。
人類の歴史を進歩させてきた大発明というのは、「火と車輪とネジ」だそうですが((C)松本零士)、もうひとつ、「コンテナ」というものがあります。
標準化されたコンテナのおかげで、荷物の船からの積み下ろし、トラックへの積み替えが飛躍的に低コストになり、大量生産、大量消費を支える大量物流の時代が到来したのです。
#まあ、それが人類の歴史にとって結果としてよかったのかどうかはさておき。
コンテナ - Wikipediaによりますと、
コンテナ化は貨物の荷役作業はもとより、物流全般、港湾・倉庫・船舶・鉄道の設計や仕組みまで激変させた、20世紀の物流革命の最も重要な要素である。船舶用コンテナの発明者は全米有数の陸運業者を裸一貫から創業したマルコム・マクリーン (Malcolm McLean) といわれる。そのアイデアは1930年代、彼がニュージャージーのトラック運転手だった時代にまでさかのぼるが、実現したのは彼が船会社「シーランド (Sea-Land)」(現・マースクライン、Maersk Line)を設立した1950年代だった。このオヤジか、発明したのは。
たいしたものだ。
昔の小説を読んでいると、港町には港湾労働者がうじゃうじゃいて、船がつくたびに塩かじりながら麻袋を担いでおろしたりしているわけですね。そいから昔からよくわからん「沖仲仕」なんて職種もあったりして。
荷役は、いくらかのクレーンを補助的に使うほかは、基本的に陸仲仕や沖仲仕といわれる港湾労働者たちが大勢で人手で行っていた。彼らは岸壁に停泊した本船に数日がかりで荷物の積み下ろしを行っていた。港の沖では、無数の本船が岸壁の順番待ちをしており無駄な時間をすごしていた。こうした港湾での待ち時間は、世界的な船のスケジュールや、陸上輸送・工場生産のスケジュールをも狂わせていた。はしけにより沖仲仕が海上で荷役作業をすることがあったが、風が強く海が荒れている場合などは大変危険な作業であった。なるほど。これじゃ大変だったよね。
昔の小説の世界そのままだなー。
マクリーンが陸運会社を大きくした1950年代後半、彼はかねてからのアイデアを実現に移すべく中古貨物船を購入して改造し、トレーラーをそのまま船倉に乗り入れさせて積み込む貨物船(RO-RO船)を実現した。だがこれはトレーラーの車輪や運転席の分だけ無駄なスペースが必要で、もっと効率的に詰め込むため、彼はトレーラーの運転席・車台部分と荷物の入った部分を分離させ、荷物の入った箱型の部分を規格化して「コンテナ」にし、一方船側の船倉全体に規格化されたコンテナを積み木のように積み固定するためのガイドレールを縦横に設けた「コンテナ船」を発明した。このコンテナを運ぶクレーンは当面は船にも設置したものの、基本的に船には余計なクレーンは設置せずに、港の岸壁にコンテナ積み下ろし用の「ガントリークレーン」を設置して、将来はこれを世界中の港に整備すべきだとした。で、これが標準化されて今日に至る、と。
実際大変なのは標準化の作業だったと思うのです。現在のようにISOがちゃんと中を取り持ってくれたりしないし、業者間の駆け引きやなんかがたくさんあったでしょう。現在の物流VANひとつとってもEDIの規格が全くそろわず、結局ASPだのSaaSだのと言って、各メーカーごとの違いをSOAツールで仲介する必要がある訳で。すげぇな、マクリーン。
そういえば、うちの会社の倉庫にも、パレットがいっぱい積んでありますけれど、あれも「通貨」みたいなもんなんですよね。いつかパレットの来し方行く末を描いた小説を書きたいとか、そういうアイデアを昔から温めているのですが、温めすぎでほどよく発酵してしまっていますってば。
物流クレートの標準化もコンテナやパレットと同じだと思うのです。やっている人は大変でしょうが、ぜひ推進して頂きたく思います。