神様のパズル | 日々雑感IIに続いて、私にとって機本伸司の二冊目。
太陽に起きる異変が予測され、地球脱出用の恒星間宇宙船の建造を始める話。2050年代に設定されていますが、世相は激しく今日的。さまざまなトラブルを乗り越えて、さあ宇宙へ飛び立てるか?という血沸き肉踊る大冒険...にはなぜかならないのです。
なにしろワールドエンド・スペーストラベル(WEST)。ゴーゴーウェスト、ニンニキニキニキニンニンニン。全体的に週末的な終末なのですね。
とにかく全編ブレインストーミング。ひたすらブリーフィング。現在の技術の延長線上にそれらしく恒星間宇宙船を成立させるそのもっともらしさは大したものですが、この構成はついていくのも結構大変。
人間のありようついて考えたら、弥生時代に行きついた、というのは優れて卓見。現在の消費社会におけるスタンダードな生活をエキソダス用の宇宙機に持ち込むのは確かに無理がある。この地球上ですら維持できなかった生活を、限られたリソース内で実現するのは、そもそも考え違いなのはよくわかりました。それにしても当作内の宇宙船内生活は想像を絶していますが(笑)。ここが最大の読みどころなのかもね。
ノッポ君はあれはミスタースポックだな。「非論理的ですな」の代わりに「それは理屈に合わない」か。でも最後は俺、泣いちゃったよ(笑)。涙腺ゆるすぎな今日この頃。
機械知性たちの描写がもうちょっとあったらなぁと思いましたです。
総合的に80点くらい?
おもしろかったです。次は「メシアの処方箋」か。