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2008年04月29日

歩兵型戦闘車両OO(ダブルオー)

歩兵型戦闘車両OO(ダブルオー)」読了。

 最初に本屋でなんとなく手に取った時に、ピピンと来て、逆にあわてて本棚に返したのですが(笑)、数年たって「第3回日本SF新人賞佳作入選作」と聞いて、読んでみました。最近は積極的に知らない作家の作品を読もうと思っていますし。

 環境庁が作った合体変形ロボットに社会からリストラされた三人が乗って、人の心の隙間から生まれた怪獣と戦うお話。

 うーん、どうなんだろう。先日の「MM9 | 日々雑感II」でも書いたんだけど、これも「怪獣が実際に出現した状況を現実的にシミュレート」みたいな話に見えて、そうじゃない。MM9と違うのは、そういう状況を「面白く書こうとして書けなかったところ」なのかな。

#MM9は最初からヨタ話狙いですよね(笑)。

 「ロボットが合体変形して怪獣をやっつける」というモチーフは本来子供の妄想であり、それを大人が読むに値するものに昇華するには、そうとう凝ったアプローチが必要だと思うのです。たとえば柳田理科雄氏は、「科学的に論証する」というアプローチから入ったわけですね。

 で、本作がそこに持ってきたアプローチというもの、たとえば官僚主義であったりとか、公務員的無神経さであったりとか、職場や社会からのリストラであったりというのがはたして「面白いフィクション」を成立させるために足りる材料なのか、ということが疑問なのです。

 たとえば「超時空要塞マクロス」では、戦闘機であるバルキリーがわざわざバトロイドに変形する「理由」として、「敵が巨人だから」という問答無用な設定を与えて、それが作中における「リアル」を確立しています。フィクションにおける「リアル」というものは現実世界がどうあれ、それに従わなければならない理由は実はないのです。

 本気でまじめに書かないと面白くなくなる、というのはわかりますが、だからといって現実のつまらない面をフィクションに持ち込むのはどうなのでしょうか。一生懸命書こうとしているのは分かるんだけどなぁ。

 でも読んだ人、どうなんだろう。なんとなく「面白がらないと申し訳ない感じ」ってのがありませんでしたか。

 どうせなら、もっと明るく前向きな「嘘」でスカっとだまされたいと思う今日この頃。

 前出、柳田氏の方針は特撮、アニメの内容をバカにして笑うというのが本来の意図のようなので、それに比べると本作の方が合体ロボットものを心底まじめに書きたくて書いているが伝わってはくるので、その辺は好感が持てるのですが。

 全然関係ないのですが、機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)が出てしまったのは残念でした。

posted by delta16v at 12:02 | Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌
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