
航空宇宙軍史が終わっちゃって、山岳モノと仮想戦記ものばっかりになったようで残念に思ってました。だからこの近未来太陽系内もの(なんじゃそら)には期待してました。
近未来太陽系内戦争ものというと、例の航空宇宙軍史でとどめという感じもしますが、例えば「太陽の簒奪者」とか、いろいろあるわけです。そのなかで「パンドラ」、どーなんですか。
ディテールはすごくいいです。まるで見てきたようですし、考証もちゃんとしてそーだなーって感じで、わざわざ裏を取ったりとかする気もおきないくらい素直に楽しめます。
でもくどい。
2500枚だそうですが、長さを誇っちゃ駄目だよ。くどさでいうと、あのほら、「二重螺旋の悪魔」を思い出したくらいですから。
山本弘氏のSF紹介本で、「長ければいいってモノじゃない」という主張がありましたが、まったく同意。
前半部分と後半部分が意味なく分断されちゃってます。後半にまったく効いてこない前半のエピソードってのは悲しいです。
エピソード自体ははてんこ盛りです。つぎつぎに事件がおきるの。そのわりに主人公の主体性がはっきりせず、主人公自身の判断、発想というのは、他の隊長や司令官におまかせされちゃって、いまいち流されっぱなしに見えちゃう。だいたいおまいはどこから給料貰って動いてんだYO、と突っ込んでしまいました。
うーん、谷甲州氏、「サージャント・グルカ」を積んであるので、そっちに期待か。上下巻あわせて3990円は高い買い物でした。無念。